H2H 10試合7勝とxG格差が問いかける名古屋グランパス vs 清水エスパルス J1 第1節見どころ
By JPick Data Team 執筆: 2026年8月5日 J1 第1節 | 豊田スタジアム(名古屋) | 2026年8月8日(土)19:00 キックオフ
昨季の百年構想リーグにxG創出でJ1 5位(1.3/試合)の攻撃基盤を持ちながらWest地区3位に終わった名古屋と、xG 16位(0.9/試合)の得点力不足でWest地区7位に沈んだ清水の開幕対決。清水は今夏5名を補強し、直近10試合で7勝2分1敗というH2H優位を誇る名古屋の豊田スタジアムに乗り込む。
注目ポイント 3 点
1. 名古屋のxG量産基盤とH2H支配 — 全20試合固定の3-4-2-1は今季も機能するか
昨季の百年構想リーグのリーグ戦+プレーオフ全20試合すべてで3-4-2-1を継続した名古屋。xG 1.3/試合(J1 5位)の攻撃基盤と直近10試合7勝2分1敗のH2H優位が今季も働くかが最初の焦点だ。(→ ①)
2. 清水の5名補強と得点力課題 — ポストプレーヤー型のオ セフンが起点になれるか
前季 xG J1 16位(0.9/試合)という得点力不足を抱えた清水が今夏5名を加入させた。昨季の百年構想リーグで7得点を記録したポストプレーヤー型(前線で身体を張り起点になる)のオ セフンが、開幕から得点力改善の鍵を握る。(→ ②)
3. 3-4-2-1 vs 4-3-3 のサイド攻防 — WBとSBの主導権争いが試合の構造を決める
名古屋の3-4-2-1はウイングバック(WB)が幅を支配し縦横に仕掛ける設計。清水の4-3-3はサイドバック(SB)の攻め上がりでサイドの質を左右する。このサイドの優劣が90分の主導権を決める。(→ ③)
① 名古屋の基盤 — 全20試合固定の3-4-2-1とH2H支配
名古屋 — J1 5位のxG量産と布陣の完全固定
昨季の百年構想リーグの名古屋はWest地区3位(勝点31)で終えた。攻撃面の数字が充実しており、xG 1.3/試合(J1 5位)、シュート13.7本/試合、チャンス創出10.2回/試合という水準を維持した。
| 指標(百年構想リーグ) | 名古屋グランパス | 清水エスパルス |
|---|---|---|
| 最終順位(West地区) | 3位 / 勝点31 | 7位 / 勝点24 |
| 平均ボール支配率 | 52.5% | 49.9% |
| xG/試合(攻撃) | 1.3(J1 5位) | 0.9(J1 16位) |
| xGA/試合(被xG) | 1.3(J1 14位) | 1.0(J1 8位) |
| シュート/試合 | 13.7 | 11.2 |
| 枠内シュート/試合 | 4.9 | 3.1 |
| シュート決定率 | 11.3% | 8.5% |
| チャンス創出/試合 | 10.2 | 7.7 |
| クリーンシート | 5試合 | 3試合 |
| 最多使用布陣 | 3-4-2-1(全20試合) | 4-3-3(10試合・50%) |
とりわけ目を引くのはフォーメーションの固定度だ。名古屋は百年構想リーグのリーグ戦(18節)+プレーオフ(2試合)全20試合で、一度も布陣を変えず3-4-2-1を維持した。WBが幅を取り、2枚のシャドーが中央に圧力をかけ、前線が数的優位を生み出すという型のDNAが20試合を通じて機能し続けた。
稲垣 祥(MF、百年構想リーグ: 15試合2得点・評点7.3)がボランチとして攻守のバランスを担い、山岸 祐也(FW、百年構想リーグ: 19試合10得点・評点7.1)が得点力の中心を担った。今夏コンサドーレ札幌から加入した高嶺 朋樹(MF)が中盤の幅をさらに加える。守備では藤井 陽也(DF、百年構想リーグ: 19試合2アシスト・評点7.2)が最終ラインを統率した。
ただし、守備の数字は攻撃力とのバランスを欠く。xGA 1.3/試合(J1 14位)は攻撃のxG 1.3と同水準であり、「作るが守れない」という両面の傾向が昨季を通じて続いた。なお、昨季からの長期離脱者としてマルクス ヴィニシウス(脛骨・腓骨骨折、18試合相当欠場)と小屋松 知哉(半月板損傷、25試合相当欠場)の2名が開幕を負傷で迎える。
H2H — 直近10試合7勝2分1敗の構造的優位
直近10試合(2020〜2026年)の対清水戦では名古屋が7勝2分1敗(名古屋視点)と圧倒的な優位を保っている。
| 日付 | 試合(ホーム vs アウェイ) | スコア | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2026-04-25 | 清水(H)vs 名古屋(A) | 0-2 | 名古屋勝(FT) |
| 2026-02-08 | 名古屋(H)vs 清水(A) | 1-0 | 名古屋勝(FT) |
| 2025-06-21 | 名古屋(H)vs 清水(A) | 1-1 | 引き分け(FT・2025年) |
| 2025-05-03 | 清水(H)vs 名古屋(A) | 0-3 | 名古屋勝(FT) |
| 2022-07-10 | 名古屋(H)vs 清水(A) | 0-2 | 清水勝(FT) |
直近3試合(2025〜2026年)は名古屋2勝1分と無敗。昨季の百年構想リーグは2対戦2勝(ホーム1-0・アウェイ0-2)と完全支配した。豊田スタジアムでの対清水成績は5試合2勝2分1敗とやや均衡するが、清水のホームスタジアムでは直近5試合すべてで名古屋が勝利している。今節は豊田スタジアムでの対戦であり、アウェイほどの「名古屋の独壇場」とはならない可能性も念頭に置きたい。
② 清水の大幅補強 — 5名加入で得点力課題に挑む
清水 — xGA 8位の堅守の裏にあった攻撃の慢性的な弱点
昨季の百年構想リーグの清水はWest地区7位(勝点24)で終えた。守備はxGA 1.0/試合(J1 8位)と水準を維持したが、攻撃の数字が問題だった。1試合あたり0.9 xGしか創出できずJ1全20チーム中16位。シュート決定率は8.5%と名古屋(11.3%)を大きく下回り、形は作れても決定的な局面への繋ぎに課題があった。
PK戦経験も多く(PK勝4・PK負4)、90分以内に決着をつける力に物足りなさを残した昨季だった。
今夏、清水は5名を加えた(全員2026-07-01付加入)。
| 加入選手 | 前所属 |
|---|---|
| オ セフン | 町田ゼルビア |
| Kosuke Kinoshita | サンフレッチェ広島 |
| Ryo Germain | サンフレッチェ広島 |
| Tomoya Fujii | 湘南ベルマーレ |
| Hidehiro Sugai | 京都サンガ |
オ セフン — ポストプレーヤー型の起点役として期待される新加入
なかでも注目はオ セフン(FW)だ。昨季の百年構想リーグで19試合7得点1アシスト・評点7.2という数字を残した実績を持つ。JPick のプレースタイル分析では**ポストプレーヤー型(前線で身体を張り起点になる)**として分類されており(百年構想リーグの参考値)、前線でボールを収めて周囲のランナーを活かすスタイルが清水の「形を作れても質が伴わない」課題の解決策になりうる。
※ JPick のプレースタイル指標は選手の役割傾向を示すもので、対戦相手への得点保証を意味するものではありません。
中盤ではマテウス ブエノ(MF、百年構想リーグ: 18試合1得点・評点7.3)が継続し攻撃の組み立てを担う。守備の要として梅田 透吾(GK、百年構想リーグ: 14試合・評点7.4)も今季もゴールを守る。
なお、長期離脱中の選手が1名(肩の負傷、2026年2月から27試合相当欠場中)おり、守備の構成に若干の影響が出ている可能性がある。
可変的な戦術も清水の特徴だ。昨季は4-3-3(10試合・50%)を主軸としながら、3-4-2-1(6試合・30%)など複数の布陣を使い分けた。固定された名古屋と対照的に、状況に応じて形を変える柔軟性が清水の一つの武器となる。
③ 両者の勝ち筋 — サイドを制した側が90分を掴む
名古屋の勝ち筋 — WBの幅制圧で清水SBを押し込む
名古屋の3-4-2-1では、両WBが大きく開いてピッチ幅を支配し、相手を押し込む設計が基本だ。清水が4-3-3を選択した場合、SBが名古屋のWBに引き出されれば中央に穴が生まれ、2枚のシャドーが飛び込むパターンが機能しやすくなる。稲垣 祥が中盤の底でボールを捌き、WBが連続して幅を使えれば、昨季のxG量産パターン(J1 5位・13.7本/試合)が発動する条件が整う。
清水の勝ち筋 — 堅守を土台に、オ セフン起点の速い切り替え
清水のxGA 1.0/試合(J1 8位)という守備の堅さは本物だ。名古屋の3-4-2-1に対してブロックを組み、守備ラインを維持したうえで素早い切り替えを仕掛けるのが清水の現実的な戦い方になる。そのカウンターの起点としてオ セフンがポストプレーヤー型として前線でボールを収め、周囲のスプリントを引き出せるかが鍵だ。清水が4-3-3を維持すれば、SBの攻め上がりでサイドの数的優位も狙える。
決定点 — 中盤の主導権
両者の勝ち筋が交差する局面は中盤だ。名古屋が稲垣 祥を中心に中盤の出口を閉じ、清水の配給ルートを遮断できれば、攻撃に専念できる名古屋が主導権を握る。逆に清水がマテウス ブエノと宇野 禅斗(MF、百年構想リーグ: 17試合1得点2アシスト・評点6.9)で中盤に立脚点を作れれば、オ セフンへの供給が機能し始める。どちらが中盤を掌握するかがこの試合の分水嶺だ。
結論
この試合が問うのは「昨季の実力差は今季のJ1でも維持されるのか」という一点だ。名古屋はxG量産基盤(J1 5位)と10試合H2H 7勝という実績を持ち込み、清水は5名の補強という具体的な回答で挑む。数字だけを見れば名古屋に構造的な優位があるが、開幕節という性質上、昨季の差がそのまま発動される保証はない。補強の噛み合わせとコンディション次第で、清水のxGA 8位の堅守がまずこの差を封じるシナリオも十分にある。スタメン発表で名古屋がWBに誰を置くか、清水がオ セフンをどの形で使うかを見れば、この試合の骨格が見えてくる。
よくある質問
名古屋グランパスはどんな布陣を使いますか?
昨季の百年構想リーグのリーグ戦+プレーオフ全20試合で3-4-2-1を一度も変えずに貫いた。ウイングバックがピッチ幅を占領し、シャドー2枚が中央に圧力をかける構造で、J1屈指の戦術固定度を誇る。
名古屋グランパスと清水エスパルスの直近10試合の直接対決成績は?
直近10試合(2020〜2026年)は名古屋が7勝2分1敗と圧倒している。昨季の百年構想リーグの2対戦は名古屋がホーム1-0・アウェイ0-2で2勝0敗・無失点だった。
オ セフンとはどんな選手で、清水が獲得した理由は?
昨季の百年構想リーグで19試合7得点を記録した韓国人FW(前・町田ゼルビア)。JPick のプレースタイル分析ではポストプレーヤー型(前線で身体を張り起点になる)に分類される。昨季J1 16位(0.9 xG/試合)に沈んだ清水の攻撃力を底上げする最重要補強として開幕からの活躍が期待される。
⚡ スタメン速報 — 発表を受けてプレビューを更新
キックオフ直前、両チームのスタメンが公式発表された。名古屋は予告通りの 3-4-2-1 を確認。清水はプレビューで想定した4-3-3ではなく 4-3-2-1 を選択し、今夏加入5名のうち4名が即スタメン入りした。
名古屋グランパス(3-4-2-1)
| # | 選手 | ポジション |
|---|---|---|
| 35 | Alexandre Pisano | GK |
| 2 | 野上 結貴 | CB |
| 13 | 藤井 陽也 | CB |
| 70 | Teruki Hara | CB |
| 27 | 中山 克広 | WB(左) |
| 31 | 高嶺 朋樹 | MF |
| 15 | 稲垣 祥 | MF |
| 7 | 和泉 竜司 | WB(右) |
| 22 | Yudai Kimura | シャドー |
| 10 | Mateus | シャドー |
| 11 | 山岸 祐也 | FW |
控え: Hiroaki Hagi · Yota Sato · Shuhei Tokumoto · 浅野 雄也 · Tsukasa Morishima · Takuya Uchida · Hidemasa Koda · Masahito Ono · Shungo Sugiura
清水エスパルス(4-3-2-1)
| # | 選手 | ポジション |
|---|---|---|
| 16 | 梅田 透吾 | GK |
| 25 | Mateus Brunetti | DF |
| 15 | Yuki Honda | DF |
| 14 | Seung-wook Park | DF |
| 24 | Hidehiro Sugai ★ | DF |
| 50 | Tomoya Fujii ★ | MF |
| 2 | Dieguinho | MF |
| 47 | Yudai Shimamoto | MF |
| 13 | Ryo Germain ★ | シャドー |
| 49 | 北川 航也 | シャドー |
| 9 | オ セフン ★ | FW |
★ = 今夏新加入(2026-07-01付)
控え: Yuya Oki · Sodai Hasukawa · Yutaka Yoshida · Sen Takagi · Capixaba · Kosuke Kinoshita ★ · Kai Matsuzaki · Kei Koizumi · Kazuki Kozuka
発表が示す構図
名古屋 — 設計図通りの3-4-2-1: 中山(左WB)・和泉(右WB)が両翼を占有し、稲垣がボランチで攻守を統率、山岸が最前線に構える。百年構想リーグ全20試合で固定した3-4-2-1がそのまま開幕を迎えた。シャドーはマテウスと木村。GKはAlexandre Pisanoが先発入り。
清水 — 想定外の4-3-2-1: 4-3-3ではなく、よりコンパクトな4-3-2-1を選択。補強組4名(オ セフン・Sugai・Tomoya Fujii・Ryo Germain)が即スタートし、Kinoshitaはベンチ待機。2列目にGermainと北川 航也を並べてオ セフンへのパスルートを複数確保した。なおマテウス ブエノと宇野 禅斗は今節スカッド外となった。
試合の焦点が変わった点: 4-3-2-1は4-3-3より中盤が1枚多く、名古屋WBがカットインで中央を使う際の入口が狭まる可能性がある。その一方で、GermainとKitagawaが名古屋の高い位置取りのWB背後を突くカウンターが両チームにとっての最大の分水嶺となる。
