水戸ホーリーホック vs 清水エスパルスJ1第9節 プレビュー決定率 J1 18位の清水 vs 全試合失点の水戸
By JPick Data Team
執筆: 2026年10月7日
J1 第9節 | 水戸信用金庫スタジアム | 2026年10月11日(日)15:00 キックオフ
J1第8節終了時点で 12 位(10pt)の清水エスパルスと 13 位(9pt)の水戸ホーリーホックが、水戸信用金庫スタジアムで激突する。データが照らし出すのは、互いに対照的な「歪み」を抱えた 2 チームの構図だ——チャンスを量産しながら得点に変えられない清水と、渡邉 新太の異常値に支えられながら全試合で失点を重ねる水戸の衝突である。
両チームデータ比較(26-27シーズン 第8節時点)
| 指標 | 水戸ホーリーホック | 清水エスパルス |
|---|---|---|
| 順位(勝ち点) | 13位(9pt) | 12位(10pt) |
| 成績 | 2勝3分3敗 | 3勝1分4敗 |
| npxG(8試合) | 7.9 | 10.1 |
| np得点(8試合) | 9 | 5 |
| xG 乖離 | +2.66(上振れ) | −5.09(下振れ) |
| 決定率 | 11.6%(J1 8位) | 6.9%(J1 18位) |
| ボール支配率 | 43.1%(J1 17位) | 42.4%(J1 18位) |
| クリーンシート | 0 | 2 |
| 直近5試合フォーム | ● ● △ ○ △ | ○ ○ ● △ ● |
(○=勝・△=引き分け・●=敗 / 左から新しい順)
注目ポイント 3点
1. 清水は今季 J1 で npxG 10.1 を生み出しながら、PK を除く得点はわずか 5——決定率はリーグ 18 位(6.9%)
チャンスを量産できているのに得点に変えられないという攻撃の歪みが、xG 乖離(xG gap)として鮮明に現れている。(→①)
2. 水戸の攻撃は渡邉 新太の異常値で成立——npxG 1.1 から 4 np得点は期待値の約 3.6 倍
ボール支配率がリーグ 17 位(43.1%)の非保持型チームが J1 中位に踏みとどまれる最大の理由がこの数字に凝縮されているが、8 試合連続失点という守備の脆弱さが同居する。(→②)
3. 清水は今季 J1 の 0〜30 分間にゴールゼロ——水戸の 16〜30 分帯に得点が集中するパターンとぶつかる時間帯の急所
両チームの時間帯別得点分布が、先制点の攻防に特別な重みを持たせる。(→③)
① 清水が抱える「創れるのに決められない」攻撃の歪み
数字が示す攻撃力の空洞
清水エスパルスは今季 J1 で 1 試合あたり平均 10.9 本のシュートを放ち、npxG(PK 除く期待ゴール)は 8 試合で 10.09——リーグ 10 位相当の創出力を持つ。それでも PK を除く実得点はわずか 5 ゴール。xG 乖離(xG gap)は 5 ゴール以上にのぼり、数字と結果の間に大きな溝がある。
決定率(シュートがゴールになる比率)は 6.9%——リーグ 18 位(20 チーム中)。100 本シュートを放っても 7 本しかゴールにならない計算となる。
積んでも決めきれない 2 人のアタッカー
この問題を体現するのが、今夏加入した 2 人のアタッカーだ。
FC町田ゼルビアから加入したオ セフンは今季 7 試合で npxG 2.6 を積みながら、np得点は 1 にとどまる。ポストプレーヤー(前線でボールを収める起点役)として清水の攻撃に組み込まれた彼の xG 乖離は、チームが抱える問題の縮図だ。
サンフレッチェ広島から加わったジャーメイン 良は全 8 試合出場で npxG 1.7——しかし 26-27シーズン J1 での得点はゼロだ。同じく広島から加わった木下 康介(npxG 1.4 / 1 np得点)と嶋本 悠大(npxG 1.4 / 1 np得点)は概ね期待値に沿うが、上位 2 名の空洞がチーム全体の攻撃数値を押し下げている。
一方、守備面は別の顔を見せる。今季通算の被 npxG は 13.78(リーグ 17 位)と基礎値が高いにもかかわらず、直近 5 試合では被 npxG 10.84 に対し失点 6 と、守備は基礎値を大幅に下回る水準で持ちこたえている。攻撃の不振と対照的に、直近の守備は堅い。
8 月から石川 慧が戦線を離れており、中盤の構成に影響が生じている可能性もある。
② 渡邉 新太が引っ張る水戸の攻撃と、全試合失点の矛盾
npxG の 3.6 倍を決める異常値
水戸の攻撃は渡邉 新太という 1 枚のカードによって支えられている。今季 J1 で npxG 1.1(期待値では 1〜2 ゴール相当)から 4 np得点——期待値の約 3.6 倍という数字は、チームの xG 乖離(+2.66)の核心だ。
チームとして水戸は「ボール支配率 43.1%(リーグ 17 位)」の低支配率の非保持型スタイルをとりながら、決定率は リーグ 8 位(11.6%)。少ないチャンスを確実にゴールへ変えるという構造が、1 試合平均 11.9 本というシュート数からも読み取れる。
7 月から岩﨑 博が戦線を離れており、前線の選択肢への影響は続いている。
全試合失点という守備の綻び
守備データは課題を示す。開幕節から 8 試合連続でクリーンシートなし。被 xGA は 1.6(リーグ 13 位)で、デュエル勝率は 48.2%(リーグ 16 位)と 5 割を割り込む。
注目すべきは「両チームが得点した試合の割合」だ。水戸の試合では 8 試合中 6 試合(75%)で双方が得点している——リーグ 5 位の高さ。守備的なスタイルとは裏腹に、水戸の試合はオープンな展開に流れやすい傾向が顕著だ。
今夏サンフレッチェ広島から加入した仙波 大志はアンカー(中盤の守備スクリーン役)として機能しており、守備組織の軸を担う。
③ 時間帯の急所と試合の変数
清水は「前半 30 分間ゴールゼロ」——水戸の前半早め得点パターンと交錯
今季 J1 の得点分布を見ると、清水は 0〜30 分間に 1 ゴールもない(8 試合通じてゼロ)。31〜45 分に 1 ゴール、46〜60 分に 2 ゴール、そして **61〜75 分に 3 ゴール(全体の 50%)**が集中する。攻撃エンジンが回転数を上げるのは後半後半、特に 61〜75 分帯だ。
一方、水戸は 16〜30 分帯に 4 ゴール(全体の 36%) と前半早めに得点が集中する。
水戸が 16〜30 分帯の強みを発揮してリードを奪えれば、清水の「前半無得点」パターンにとって不利な展開となる。ただし水戸は後半も 46〜60 分帯と 76〜90 分帯にそれぞれ 3 失点を喫しており、清水が前半を乗り切った場合のリスクも潜む。
特別な変数——西原 源樹、古巣との対決
西原 源樹は 2026 年 7 月 1 日、清水エスパルスからのローンで水戸ホーリーホックに加入した。今節、彼は古巣と相対することになる。ローン契約上の出場制限の可能性は排除できないが、もし先発するなら普段とは異なる緊張感がピッチに走るだろう。
両チームとも前節(9 月 29 日)から 11 日間のインターバルを経ており、コンディション面の差は生じにくい。
結論
清水(2 連勝・4 試合連続得点中)と水戸(2 連敗)という直近の形は対照的だ。しかしデータが示す構造はより複雑だ——清水は xG を生み出せるのに得点に変えられず、水戸は渡邉 新太という個の決定力と全試合失点という矛盾を同時に抱える。
勝利した場合の順位変動は大きい——水戸勝利で 10 位(12pt)浮上、清水勝利で同じく 10 位(13pt)浮上。中位グループへの突破口を懸けた一戦だ。
データから見る展望
清水の攻撃 xG 乖離(npxG 10.1 → 実得点 5)、水戸の全試合失点と決定率 J1 第 8 位の矛盾、両チームの時間帯別得点パターン——これらを軸に試合を観ると、何が起きているかが見えてくる。スコア確率マトリクス・期待勝点・選手別詳細指標はアプリで確認できる。
スタッツはすべて JPick データベース(26-27シーズン・第8節終了時点)に基づく。xG 乖離は実際のノンPKゴール差と期待ノンPKゴール差の差分。npxG はペナルティキック除外の期待得点。
