7-8 位決定戦 第 2 戦:保持で押す川崎は、広島の 3 バック高プレスを破れるか
By JPick Data Team 執筆: 2026年6月5日 18:00 明治安田 J1 リーグ(百年構想リーグ)7-8 位決定戦 第 2 戦 | 等々力陸上競技場 | 2026年6月6日(土)19:00 キックオフ
第 1 戦は広島 2-1 川崎。だが内容を一言で言えば、「ボールを持っていたのは川崎、試合を支配していたのは広島」だった。川崎は支配率 54% でボールを握りながら、シュートは 10-18、枠内は 3-7 と広島に圧倒され、前半 20 分で 2 失点。なぜ持っていた川崎が落とし、持たれた広島が勝ったのか。1 点を追う川崎はホームで 2 点差勝利が条件(1 点差なら延長 → PK 戦)。両者の課題と良かった点を、第 1 戦の中身から掘り下げる。
試合の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日 | 第 1 戦 2026年5月30日(広島 2-1 川崎)/ 第 2 戦 2026年6月6日(土)19:00 |
| 会場 | 第 1 戦 エディオンピースウイング広島(広島ホーム)/ 第 2 戦 等々力陸上競技場(川崎ホーム) |
| 勝ち抜け条件 | 広島が 1 点リード。川崎は 2 点差勝利で総合 7 位/1 点差なら延長 → PK 戦/勝てなければ広島が総合 7 位 |
| 想定布陣 | 川崎 4-2-3-1 / 広島 3-4-2-1(ともにシーズン最多採用フォーメーション) |
| ペアの位置付け | 総合 7 位(East 4 位 川崎 勝点 28)と 8 位(West 4 位 広島 勝点 30)の決定戦 |
① 第 1 戦の振り返り — 持っていた川崎が、なぜ落としたか
第 1 戦の前評判は、広島にあった。勝点は広島 30(West 4 位)が川崎 28(East 4 位)を上回り、舞台も広島の本拠地。順位どおりなら広島やや有利だった。
そして試合は、その見立て以上に広島が支配した。ただし「ボールを持って」ではない。川崎が支配率 54% でボールを握ったのに対し、シュートは広島 18-川崎 10、枠内は広島 7-川崎 3、CK も広島 5-川崎 2。広島は前から人を捕まえて川崎のビルドアップを引っ掛け、奪っては手数をかけずに殴る――ボールを持たずに試合を支配した。 これはペトロヴィッチ以来の 3 バックを、スキッベからガウルへと受け継いだ高プレスの、いつも通りの姿だ。前半 11 分に 中村 草太(評点 8.3)が先制、20 分には 加藤 陸次樹 が追加点。広島は早い時間で 2-0 とした。
対する川崎は、ボールこそ持てたが、相手ゴールを脅かせなかった。シュート 10 本のうち枠内はわずか 3 本。鬼木時代の保持王朝とは異なり、今の川崎は長谷部のもとで「ボール保持にこだわらない」実利的なチームへ姿を変えており、持たされても刺すための鋭さに欠ける。それでも 43 分、伊藤 達哉(評点 7.2)が個の打開から 1 点を返したのは収穫だった。だが反撃はそこまで。「持っても刺せない川崎」と「持たずに刺す広島」の差が、2-1 というスコアに表れた 90 分だった。
② 課題と良かった点 — 川崎の停滞、広島の 3 バックを数字で
川崎の課題は、創造の核が広島の高プレスに消されたことだ。 チーム最高 PI 値 +49 の 山本 悠樹(テンポを作る メトロノーム が J1 8 位)は第 1 戦に不在。もう一人の核 脇坂 泰斗(PI 値 +46)は評点 6.2・デュエル 2/7 と前を向けず、攻め上がりの起点 三浦 颯太(アタッキングフルバック J1 10 位)も評点 6.3 に沈んだ。シーズンを通しても川崎はプレス強度・縦への速さ(directness)が J1 最低級で、ボールを持っても前から奪わず、速く刺せない――2 点を追う展開に最も向かないタイプだ。
だが川崎の良かった点は、押し込まれても個で 1 点を返せたことだ。 中盤の 川原 颯太 は第 1 戦チーム最高の評点 7.3。直近の勢いを示すエッジスコアは 65(X-Factor 級)と、今の川崎で最も状態の良い駒だ。橘田 健人(メトロノーム J1 5 位)が循環を支え、第 1 戦で 1 点を決めた伊藤の打開力もある。山本が第 2 戦で戻れば、保持の質はもう一段上がる。
広島の強みは、その 3 バックの数字にはっきり出ている。 出口は 東 俊希、創造性を測る アドバンスドプレイメーカー(z=1.40)は J1 3 位。両ウイングバックの推進が生命線で、新井 直人 は攻守に走る ボックス・トゥ・ボックス が J1 3 位、第 1 戦も 3 キーパスと全幅から好機を供給した。中盤は PI 値 +63 でチーム最高の アースラン が支配し、最終ラインは キム ジュソン(エッジスコア 49 の X-Factor 級)が 1 対 1 で弾く。前線は中村が momentum 値リーグ屈指の好調、鈴木 章斗 が前線の基準点とプレスの先導を担う。広島の弱点は、その高ラインと、ウイングバックが上がった背後のスペースだが、第 1 戦が示すとおり、川崎にはそこを速く突く縦の鋭さが乏しい。
※ Player Impact(PI 値)はチーム内での相対的な影響度を示す指標であり、対戦相手に対する強さを直接示すものではない。
③ 結論 — 川崎は保持で押し切れるか、広島は 3 バックを機能させ逃げ切れるか
この一戦は、第 1 戦で浮かんだ「持つ川崎」と「持たずに支配する広島」の構図が、第 2 戦でどう転ぶかに尽きる。
川崎の問いは、自らの保持を、得点という結果に変えられるかだ。 2 点が要る。鍵は、橘田と(戻れば)山本で広島の高プレスを外し、三浦が広島ウイングバックの上がった背後を取り、川原と伊藤の勢いで早い時間に 1 点を返すこと。ただし川崎は縦に速いチームではない。だからこそ、ホームの後押しを受けて立ち上がりから保持で押し込み、広島が構える前に主導権を握れるかが分かれ目になる。動き出しが遅れれば、広島の老獪な試合運びに引き込まれる。
広島の問いは、その逆だ。第 1 戦で機能した 3 バックの高プレスを、もう一度 90 分維持できるか。 東の出口、新井のウイングバック推進、アースランの中盤支配、キム ジュソンの対人、そして中村・加藤の決定力――この型を続け、川崎が 2 点を求めて前がかりになった背後を、奪ってからの一突きで突ければ、追加点で決着が見える。受けて構え、3 バックを機能させ続けること。それがそのまま、広島の逃げ切りになる。川崎が自らの保持を結果に変えるか、広島が型を維持して逃げ切るか――その綱引きに、総合 7 位の行方がある。
⚡ スタメン速報 — 発表を受けてプレビューを更新
スタメンが発表された。フォーメーションはどちらも予想通りだが、川崎に大きな誤算――山本 悠樹がベンチ外。「第 2 戦で戻れば保持の質が一段上がる」と書いたテンポの核が、控えにも名前がない。2 点を追うホームゲームで、創造の主軸なしに挑むことになった。
川崎フロンターレ(4-2-3-1)
| ポジション | 選手 |
|---|---|
| GK | 山口 瑠伊 |
| RB | 山原 怜音 |
| CB | 松長根 悠仁 |
| CB | 丸山 祐市 |
| LB | 三浦 颯太 |
| DM | 橘田 健人 |
| DM | 河原 創 |
| AM(右) | 伊藤 達哉 |
| AM(中) | 脇坂 泰斗 |
| AM(左) | マルシーニョ |
| CF | Kyosuke Mochiyama |
控え: 早坂 勇希 / スベンド ブローダーセン / 神橋 良汰 / 野田 裕人 / フィリップ ウレモヴィッチ / 由井 航太 / 名願 斗哉 / 宮城 天 / 紺野 和也
サンフレッチェ広島(3-4-2-1)
| ポジション | 選手 |
|---|---|
| GK | 大内 一生 |
| CB(右) | 中野 就斗 |
| CB(中) | 山﨑 大地 |
| CB(左) | 佐々木 翔 |
| WB(右) | 新井 直人 |
| MF | 川辺 駿 |
| MF | 松本 泰志 |
| WB(左) | 東 俊希 |
| SS | 加藤 陸次樹 |
| SS | 中村 草太 |
| CF | 鈴木 章斗 |
控え: 田中 雄大 / 志知 孝明 / 菅 大輝 / 茶島 雄介 / 小原 基樹 / 前田 直輝 / ジャーメイン 良 / Shun Ayukawa / 木下 康介
スタメンを受けた戦局の更新
川崎 → 山本 悠樹がベンチ外。想定より厳しい条件に 橘田・河原のダブルボランチが循環を担うが、テンポを作るメトロノームの核が不在となった。脇坂・伊藤・マルシーニョの 3 枚が広島の高プレスを外せるかどうか、より難しい条件で 2 点を追いかける展開になる。マルシーニョのスタートは左サイドに推進力を与えるポジティブ要素だが、中盤で局面を変える一手が限られた。
広島 → 予想通りの型。第 1 戦の勝ちパターンをそのまま持ち込む 東が左ウイングバック、新井が右、川辺と松本がインサイドを組む。第 1 戦で機能したハイプレス 3 バックが変更なしで登場。控えにはジャーメイン 良を温存 — 川崎が前がかりになった後半に一刺しする最大の切り札だ。
本記事の順位・勝点・得点・失点は J リーグ公式の最終順位(2026 シーズン第 18 節終了時)に準拠し、第 1 戦のスコア・得点経過・シュート・選手評点、および各チームの PI 値・エッジスコア・シグネチャースタイル・選手スタッツは JPick のデータベース(API-Football 提供データ)の 2026 シーズン値を用いています。チームの戦術的アイデンティティ(保持志向・3 バック・高プレス等)は JPick 戦術プロファイルの出所付き記述に基づきます。選手は現在の所属(2026 シーズン登録)を確認のうえ掲載しています。
